
タバコの値上げがあるたびに販促をしていた筆者が「もうやらない」と決断。その理由と、現場で見えてきた矛盾や本音を語ります。
2025年4月からまたタバコの値上げが始まります。
タバコの値上げって、これまでに何度も繰り返されてきましたよね。
自分の記憶をたどっても、本当に何度も「ああ、またか」という感覚で、そのたびに店内がバタバタしてきました。
たばこは、政府が税収を確保したいときに、真っ先に標的になりやすい商品なんですよね。
だから、値上げの話が出ると、それに合わせて動かないといけない。
過去の値上げのときも、決まって直前になると予約が殺到したり、カートン単位で買っていく人が増えたりして、ちょっとした“たばこ祭り”みたいな空気になるんです。
メディアもそんな様子を見逃さず、コンビニでたばこを抱えて並ぶお客さんの姿を映して、「買い占めだ!」「争奪戦だ!」なんて大げさに取り上げていました。
うちの店も例外じゃなくて、前回の値上げ時には
「今のうちに買っておきましょう!」
と声かけをしたり、ポスターやPOPを店中に貼りまくって、予約を取っていました。
なんというか、今思えば半分“イベント化”してたような感じです。
でも、もうそういう売り方はやめようと、今回はっきり決めました。
今後はたばこ値上げの際にも、一切宣伝や告知はしない。
それが今の自分の方針です。
というのも、うちの店ではそもそもタバコの売上構成比が高くて、放っておいてもある程度の本数は出るんです。だから無理して仕掛ける必要はないなと。
もちろん、「予約すれば売れるじゃない?」と思う人も多いでしょう。
たしかに、しっかり販促すれば、通常の数倍にまで売上が跳ね上がる可能性もあります。
実際、他店ではそれを狙ってガンガンキャンペーンを張ってます。
でも、それでもやらない理由があるんです。
ひとつは単純に、業務の負担が大きいから。
タバコの予約が入ると、その対応にスタッフが時間を取られるだけでなく、発注・納品・検品・陳列・販促…と全ての工程に人手が必要になります。
その作業にかかるコストと労力を考えると、約6%という利益率はあまりにも低すぎる。
一生懸命働いて、ようやく得られる利益がそれでは、モチベーションも上がりません。
「ついで買いで他の商品が売れるでしょ?」
と言われることもありますが、今の時代、その“ついで買い”すら減少傾向にあります。
しかも、発注業務が煩雑になると、他の業務にも支障が出てくるんです。
たとえば、お弁当の棚の補充が遅れたり、レジ対応が雑になったり、サービスの質が下がる要因にもなりかねません。
また、価格変動が激しい商品というのは、それだけで管理が難しい。
店としても、在庫の調整がシビアになる。
カートンで予約された商品が値上げ後にキャンセルされたら、丸ごと在庫を抱えるリスクだってあります。
そしてもうひとつの大きな理由が“市場の先細り感”です。
喫煙者は年々減っていて、それは日本に限らず、世界中で起きている流れです。
禁煙推進や健康意識の高まり、受動喫煙対策といった社会の変化によって、タバコに対する視線はどんどん厳しくなっています。
今後、ますます減少していくであろう市場に労力をかけ続けることは、長い目で見ると効率的とは言えません。
さらに、値上げ直後には必ず売上がガクンと落ちる。これも毎回のパターンなんですよね。
この波に振り回されるのは、もうやめにしたい。
そして最後に、個人的に一番感じているのは“矛盾”です。
最近のコンビニは、健康を意識した商品をどんどん打ち出していて、低糖質食品や高タンパクのサラダチキン、オーガニック商品など、どれも健康志向全開です。
それなのに、たばこはその真逆に位置する商品でありながら、平気で「予約受付中!」なんて言ってる。このギャップがどうしても引っかかるようになったんです。
「健康を届ける店」としてのブランドづくりをしていくなら、そこと矛盾する販促は控えるべきじゃないかと。
そういう想いから、今回からは“静かなたばこ販売”を実践していくことに決めました。
当然、メーカーや本部は「もっと売ってくれよ」と思ってるかもしれませんが、そこは自分の意思を貫こうと思っています。
静かに、淡々と、でもブレずに。“粛々と”対応していきます。
これは勝手かもしれないけど、しっかり考えたうえでの判断です。
もちろん、これからもたばこを取り扱うことには変わりないですし、必要としているお客様にはきちんと販売していきます。
ただ、自ら煽るようなことはしない。それが今の時代のあるべき姿だと感じています。
自分ができる範囲で、コンビニの在り方を少しでも見直していけたら。
そう感じる今日この頃です。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。