
昔は「コンビニを始めれば家が建つ」と言われた時代がありました。今や飽和状態となった業界の変遷と、これからの在り方を現役オーナーが語ります。
だいたい30年くらい前までは、
「とりあえず店を出せばなんとかなる」
みたいな空気があって、実際にそれで成り立っていた時代でした。
新しい店舗を構えれば、自然とお客さんが入ってきてくれて、しっかり利益も確保できていた。今振り返ると、あの頃は本当に“いい時代”だったんだなと思います。
じゃあ、もっと昔、さらに40年前はどうだったかというと…
「とにかく商品さえ置いておけば売れる!」
っていう、ある意味で“売り手市場”のような時代だったんですよね。
在庫さえ揃っていれば、お店を開けば勝手に物が動いていく。
今ではちょっと信じられない話かもしれませんが、それくらい景気が良くて、消費の勢いがありました。
当時なんて
「コンビニ始めれば家が建つよ」
なんて言われるくらい、業界全体が活気に満ちていたんです。
コンビニ経営者は夢を持てましたし、新しい挑戦もポジティブに受け入れられていたように思います。
地域に根づいた商売をするというよりは、「時代の先端をいく業態」だったとも言えるかもしれません。
でも、じゃあ今はどうかっていうと…
確かにまだまだ売上が良いお店もあります。
でもそれはほんの一部で、日本全国で見れば、どこもコンビニだらけの飽和状態。
どの街角にも店舗が並んでいて、昔のように“出せば儲かる”という時代はとっくに終わっています。
競合も多く、同じチェーン同士でお客様を取り合うような状況もしばしばあります。
その現状に各コンビニチェーンもちゃんと気づいていて、
「このままじゃマズい」
と感じているからこそ、新しい業態を次々と試しているんだと思います。
ドリンクやコーヒーの強化型店舗、イートイン特化、セルフレジ導入店、ドラッグストア併設型、さらには無人コンビニのような新しいモデルまで、今はまさに“試行錯誤の時代”に突入しています。
そんな中で現代のお客さんって、本当にシビアで、すごく賢い。
値段には超敏感で、ちょっとでも安いセール品があればパッと手に取るし、それ以外の商品は見てもらえないなんてこともよくあります。
「これ買うと○○がもらえる!」
っていうインセンティブ商品や、数量限定のプレミアムアイテムの発売日なんて、スタッフより早く把握してるお客様もザラです。
以前のように、「近くにあるから」という理由だけでは選ばれない。完全に“選ばれる側”になってしまったのが、今のコンビニなんですよね。
「これはコンビニで買う」
「あれはドラッグストアで」
「こっちはスーパーで」
って、お客さんの中で購入先が明確に仕分けされていて、便利なだけじゃ通用しなくなっているのが現実です。
昔から地域にあった駄菓子屋さん、タバコ屋さん、酒屋さん…これらが徐々に消えていったように、今のままのコンビニも、何もしなければ同じ道をたどる可能性があると思っています。
もちろん、僕は経済評論家じゃないし、専門的なデータに基づいて話しているわけではありません。
あくまで現場に立ってる一経営者としての肌感覚で話しています。
でも最近はどうしても、
「あれ?今のコンビニって、どんどん“駄菓子屋化”“タバコ屋化”“酒屋化”してない?」
って感じる瞬間が多くなりました。
お酒とたばこの売上に頼り切って、独自の商品やサービスを作る力が薄れてきている。
かつての“革新の象徴”のような存在が、だんだん“昔ながらの商店”のような役割に戻りつつあるような感覚です。
もちろん、それが悪いというつもりはありません。
でも、時代の波にうまく乗ってきた業態だからこそ、ここで踏ん張って、もう一度変わる力が求められているのではないでしょうか。
下手すると、「コンビニ屋さん」っていう、まったく別のカテゴリーができる時代がくるんじゃないかなって思うくらいです。
地域密着型の便利屋としての進化なのか、あるいは専門特化型の小売店舗になるのか、それは各店舗やオーナーの選択に委ねられていくのかもしれません。
現場のリアルを知っている一人として、これからのコンビニの未来、一緒に考えていけたら嬉しいです。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。